“おひつ”がごはんを美味しくする。

炊きあがったお米は、時間とともに少しずつ変化していきます。デンプンが水分を失い、粘りが抜けていく——これが、ごはんが「劣化する」と言われるメカニズムです。

木製のおひつは、この変化をゆるやかにする力を持っています。炊きたてのごはんから出る余分な蒸気を木が吸収し、お米にとって心地よい湿度を保ち続けるのです。炊飯器の中でそのまま保温するよりも、おひつに移すことで、熱と水分のバランスが整い、ごはんの美味しさがより長く続きます。

季節にもよりますが、おひつに入れたごはんは常温で2日ほど。夜に炊いたごはんをおひつへ移しておけば、翌朝の食卓にも、お弁当にも、おにぎりにも、美味しいままのごはんが使えます。

おひつとダリアさん

YouTubeチャンネル「スキマにイストリヤ」のダリアさん。

NOUSOのおひつ

NOUSOのおひつには、国産の赤白杉を使用しています。赤白杉は水に強く耐久性にも優れた素材で、おひつに求められる条件をよく満たしています。匂いがつきにくいため、お米本来の香りをそのまま楽しめるのも特徴のひとつです。赤と白が混じった木目の表情は一点ごとに異なり、世界にひとつだけのおひつとして、暮らしの中に特別感を添えてくれます。

伝統工芸士が数枚の板を隙間なく組み合わせ、滑らかなかたちに仕上げていく工程は、すべて手仕事によるものです。手に持ったときの収まりのよさも、人の手から生まれた道具だからこそ。

テーブルの上にあるおひつ

使い始める前に

届いたおひつをすぐに使いたい気持ちはわかりますが、まず最初にひと手間かけておきましょう。

1. お米のとぎ汁をおひついっぱいになるまで入れます。1回分で足りない場合は、2回目・3回目のとぎ汁を継ぎ足してください。

2. とぎ汁がいっぱいになったら、そのまま3時間ほど置きます。この間、水が滲み出てくることがあるので、キッチンのシンクの中に置いておくと安心です。

3. 水で洗い流し、日陰でしっかりと乾かします。

この工程はアク抜きと匂い抜きのためのものです。木の香りが気にならない場合はそのまま使い始めても問題ありませんが、香りが強く感じる場合はこの手順を数回繰り返してみてください。

おひつのある食卓

おひつで保ったごはんは、冷めてもべたつかずふっくらとしています。そのため、おにぎりやお弁当にするとその違いがよくわかります。水分が程よく調整されたお米は卵かけごはんとの相性も抜群で、何気ない一杯がいつもより美味しく感じられるはずです。

毎日の食卓に、おひつをひとつ。

ごはんを食べるダリアさん

おひつのごはんをダリアさんに食べて頂きました。

おひつの弱点と、上手な付き合い方

おひつのごはんが美味しいことを実感するほどに、愛着も湧いてくるもの。ただ、木の道具にはいくつかの弱点もあります。使い始める前にきちんと知っておくことで、おひつとの付き合い方が変わってきます。

1.冷蔵庫には入れられない

木製のおひつは、冷蔵庫での保存には向いていません。急激な温度変化によって木が収縮し、タガが緩む原因になるためです。

常温保存のみということは、衛生面を考えると保存できる時間にも限りがあるということ。もともとおひつは、ご飯が炊き上がってから食べるまでの間、風味を損ねずに保つための道具です。長時間の保存を目的としたものではありませんでした。

環境の温度や湿度によっても変わるため一概には言えませんが、夏場に朝炊いたご飯をそのまま夜まで置いておくのは避けた方が無難です。

一方で、食事の時間帯がバラバラな家族がいる場合や、夜に炊いたご飯を翌朝の朝食に使う場合など、短時間の保存であればおひつが十分に活躍してくれます。

2.黒ずみが発生する可能性がある

おひつを使い続けるうちに、表面に黒ずみが現れることがあります。主な原因として考えられるのは、水垢・ご飯のデンプン質と木のタンニンの反応・カビの3つです。完全に防ぐことは難しいものの、濡れている時間を短くして乾燥を徹底することで、発生を最低限に抑えることができます。

3.きちんと乾燥させる

カビの発生を防ぐうえで最も大切なことです。洗ったあとは水切りかごにそのまま入れず、すぐに布巾で拭いてから風通しの良い日陰でしっかり乾かしましょう。底の継ぎ目部分はお米や水が残りやすいので、念入りに洗うよう心がけてください。

4.つけ置きせず、使ったらすぐに洗う

ご飯がこびりついていても、水につけ置きするのは避けてください。木が水を吸うことで割れやカビの原因になります。使い終わったらなるべく早く洗うことを習慣にしましょう。

5.毎日使わない

十分な乾燥時間を確保するという意味では、2つのおひつを使い回すのが理想です。ただ現実的には難しいので、2日に1度程度のペースで使うのがちょうどよいかもしれません。